猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

シャワー

浴びるのは、何も水とは限らない。

想いも言葉も

見えない何かも。

 

届くのは、手紙とは限らない。

想いも歌も

涼やかな森の風景も。

 

三度デートしたその人は、

音楽ファイルにたった一曲を、

容量の許す限り詰め込むような人だった。

 

ジャンル違いの音楽を何十曲と、

同じくぎっしり詰め込むわたしと対照的に。

 

違いを楽しむには至らず、自然消滅のように別れた。

隣にいなくてお互いに幸いだった。

喧嘩が絶えなかったろう。

年を重ねた今は、容易に想像がつく。

 

だが、昔の恋は時折悪さをする。

同じ一曲をぎっしり…ではないが、

リピート再生を大いに活用しているわたしがいる。

 

隣にいたかったけれどすれ違った、

あの人を真似て。

 

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