猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

風磨きのうさぎ〜ダンス

まだ

星が溺れるほど雨が降ったり

ついには空ごと降ったり

 

そんなことが起こる

ずっとずっと前のお話です

 

大気がすっかり冷え切って

そこかしこがカチンコチンになった夜

湖畔にふわふわした生き物たちが

姿を見せました

風を磨くうさぎたちです

 

こんな日は

人らもとっくに寝床の中

風磨きのうさぎたちは

弧を描いて楽しげにしています

 

やがて夜は更け

星がみっつ流れたら

早起きの猫たちが奏でを探し

星がよっつ流れたら

早起きの人らが幸せを探す時刻です

 

うさぎたちは

ふわふわと空に帰っていきました

 

空も水も土も

光も影も

猫も人らも

嬉しかったことも

悲しかったことも

 

みんな空に帰っていくのです

 

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