最後にこしらえたのはいつだったか。そんなことを思いながら、雑穀ご飯の横に筑前煮の残りや卵焼きを詰める。昼食用の弁当である。
もともとは家族のために。
その機会が少なくなってからは、たまに自分のために。
そして、午後から出かける日はおむすび持参であったのが、時間的な余裕が少しできたものだから、弁当などこしらえてみようと思い立ったのだ。
出先では水も湯も使えないため、帰宅後に洗うことになる。幸か不幸か、除菌用のスプレーやペーパーには困らない時代。それらを拝借して、空になった小さな弁当箱を丁寧に拭っておけば、帰宅するまでおかしなことにはならない。
ところで、知人がお取り寄せの数を間違えたとかで、倍の数の冷食が届いてしまったとぼやいていた。野菜にオムレツにハンバーグ。フルーツもあるという。喜んで遊びに行った。
せっかくだからきのこも持っていってくれ、と懇願され(長期出張らしい)、はいはい、と遠慮なく持ち帰った。
なんて事のない日常だが、マスクはまだそのままで。
互いにどんな顔をしていたのか、はっきり思い出せないな。
そういう時代があったと、未来人がどこかで笑うのが見えるようだ。
最後にこしらえたのはいつだったか。
そんなことを思いながら、雑穀ご飯の横に筑前煮の残りや卵焼きを詰める。
知人に感謝しながら。