わたしの、血は青い。
海よりも空よりも。
気づいたのはここ数年のこと。
秋にしては気温の高い昼間、鼻に違和感を感じてマスクを外す。顔を拭ったハンカチに、真っ青な何かがべっとり染み込んでいた。
慌てて病院に駆け込んだが、特に何か問題があるわけではなく「ま、様子をみましょう」で終わりになった。
自分だけに、青く映っているのか。
一生このままなのか。
だが、そういうものかもしれなかった。
自分にだけ映っている。他からはどう見えているかにかかわらず。
どうしようもないこと、を淡々と受け入れて心に落とし込む。それが個性となる。
わたしの、血は青い。
海よりも空よりも。
いつかの春よりも。