猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ここにいる理由

鳴らない。今朝も。

そろそろこちらからかけてみようかと、寝床を離れては考え込む。そんな朝は13回目を数える。

 

モーニングコールの約束を交わしたのは随分前だった。

互いにマメなたちだったので、遅れたりフライングしたりすることはあっても、鳴らさない日はなかった。

1週間ごとに、役割が入れ替わる。今週は相手の番だった。

 

約2週間前、わたしたちは喧嘩をしたろうか。

約2週間前、言葉の足りない会話をしたろうか。

約2週間前、、、、、そうだ。

空が落ちた。

その前の週、つまり約3週間前。

 

いつかの未来にはそんなこともあるだろうけれど、まさか今じゃないよね。

 

モーニングコールのついでに、そんな会話を交わしたのを薄く思い出す。

 

空が落ちてもここにいる。

空が落ちたのにここにいる。

空が落ちたからここにいる。

 

私の場合、どれなのだろう。

 

魂の始まりの場所に戻るまで、落ちた空を集め続ける。

結局どこにいたとしても、いつかの未来に空は落ちるのだ。

わかっているくせに、誰かに出会って親密になって。

空を集めるたびに、後悔するけれども。

 

誰かが再び名前を呼んでくれるまで、私はここに居続ける。

空を拾い集めながら。