へろへろと帰宅した。
冬の入り口は相変わらず見つからない。ほんの欠片を見つけては、誰にも知られぬよう空に返すくらいのもので、霜も手の冷たさもその時に一瞬味わうくらいである。
今夜はどうだろう、と若干身構えつつ、ドアの前に立つ。
街灯にキラキラと反射する扉。やれやれ。思い切り息を吹きかけ飛び退いた。
びよぉぉぉ〜
ひんやりした何かが鼻先をかすめ、空にのぼっていく。
早朝、霜くらいはおりるかもしれない。
冬の入り口なんてものは、詩人には見つからない場所に隠しておけばいいのに、といつも思う。
雪が降り始めるまでは、こうして相手をしなくてはならないのだが。
そうそう、言っておくが詩人は嘘つきだ。
実はこっそり冷凍庫に冬の入り口を隠して、好き放題している…かもしれないよ。