猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

出かける

考え事をしていた。

不在にするので、バッグの中身や冷蔵庫の中身について、思いを巡らせていたのだ。

 

持ち歩くものは軽く。

冷蔵庫はほぼ空に。

となると、今週はもう買い物しなくてもよさそうである。

 

数日後には帰れそうだ。が、保証はない。

しばし考え、非常袋からとっておきの「おいしいクッキー」をふた箱とりだし、ひとつは自分用、もうひとつは連れ合いのバッグに忍ばせる。

 

どちらかの器が壊れぬ限り、しばらくは星に縛られたままでいられるだろう。

 

こと、と音がした。

連れ合いが持ち帰ってきた、小さな銀色の人形がうつ伏せになっている。無意識のうちに、耳をパタパタやってしまったらしい。

 

本当にこんな生き物がいたらいいのに、と連れ合いは笑っていたが、なかなか出会えないのもまた、宇宙の不思議というものであろう。

 

猫が顔を洗う仕草を真似て、身なりをととのえる。

出かけるとするか。

 

どちらかの器が壊れぬ限り、しばらくは星に縛られたままでいられるだろう。

どの宇宙に生きたとしても。