猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

珈琲豆

仕事おわりに、ちょっといい?

うん、待ってる

 

短い通話のあと

男友達が訪ねてきた

 

サコッシュ?いいね

ふふん、君も買いなよ

そうだねえ

 

お土産と称して

封を切ったミニクッキーを押しつけられた

もう!新幹線の中で食べちゃいなさいな

君のことを思い出したのだ、悪いか

 

ほれ、と香りたつ包みを渡される

 

淹れよっか

ごちになります

 

相変わらず詮索もしなければ

話し過ぎたりもしない

歳を重ねてもこの関係は

 

茶飲み友達、か

な〜る〜ほ〜ど〜

コーヒー友達でもいいんじゃないかな

できたぞ

 

華麗にスルーされ

豆からのコーヒーをありがたくいただく

なんでわかるのかな

会いたいな、って思ってたことが

 

だけど、それは口に出さず

そのまましばし香りの中を揺蕩う

 

明日さ

うん?

珈琲店に付き合え…いや、付き合ってください

 

君の意見が聞きたいです、と何やら仕事モード

 

承りました、と言いながら早くも肩が震え出す

笑うとこか?

うん…ふふふ、大変失礼いたしました

 

ふたりでいられるなら

なんでもいい、と心の中だけでつぶやいた