猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ある街にある人が引っ越した

まだまだ子どもで

まだまだ夢いっぱいで

少ぉし背伸びが嬉しくて

ちょびっと親にも秘密を作って

そんな時代のお話

ある街にある人が引っ越した

 

ある人とは幼稚園の先生で

すご〜くすごく優しさと厳しさを

愛たっぷりに届けてくれた

素敵びと

 

たまたまそういう話になって

たまたま同じクラスになったので

3人でお土産のケーキを選んで

お小遣い出し合って小さな花束抱えて

初めましてのバス

初めましての路線

街の名も同じクラスだった子たちの顔も

記憶のどこかに片づけてしまったけれど

あの日のサンドイッチと

いらっしゃい、よくきたわねえ、と笑ってた

先生の声は今でも忘れられないんだ

玄関の敷物や木の香り

上書きしても押し込めたつもりでも

消えない思い出だなんてどうかしてるかな

 

まだまだ子どもで

まだまだ夢いっぱいで

少ぉし背伸びが嬉しくて

ちょびっと親にも秘密を作って

そんな時代のお話