猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

押しつけ屋-2

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「では、ね」

 

押しつけ屋は

あっという間にいなくなり

今やバトンは託された

 

何を思おうと

何をしようと

自分がやったとわからない

 

なんと素晴らしき哉!

 

その日は

ようやくテレワークから解放された

記念すべきひとときでもあり

かと言って

このご時世なので

急務な案件もなく

数時間のちには

空いた電車で帰路についた

 

「半端に余った」と

押しつけ屋は言ったが

家で包みを開いたところ

まあまあの量である

 

そこで

ひとつまみ

いや

ふたつまみほど

慎重にとりわけて

残りは見知らぬ誰かに

包みごと託してしまおう

 

期待がこみ上げ

耳まで裂けよとばかり

にたりにたりと

マスクの下で口角を上げた