猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

これ以上寒くならなくていいように

ようやくふたりでいられた年は

溝がこれ以上ないほど深く広く

肩が触れるたび心が冷えていった

 

風は忙しないリズムと

チキンやバニラの香りを放つから

抱えた秘密なんてどうでもよくなった

 

猫ですら隠れられない街に

居場所があるのなら

誰かの記憶が混ざり合う前に

たどり着きたかった

 

心がこれ以上

寒くならなくていいように