猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

朝靄に溶けて

朝靄に昨夜の遠雷が溶けて

幾筋もの命と宇宙がつながるものだから

きみを失ったことも

涙を枯らしたことも

とりあえず横に置いて

クッションに顔をうずめたんだ

 

金木犀の香りはずっとかすかになって

幾重もの次元を通り抜けるものだから

きみが遺したものも

いつかの会話も

とりあえず箱にしまって

空に漂ったんだ

 

朝靄が昨夜の北風を溶かして

幾筋もの光と宇宙がつながるものだから

きみを失ったことも

涙を枯らしたことも

とりあえず横に置いて

クッションに顔をうずめたんだ