ミケのことは君も知っているね
言葉をよくよく解する猫で
孫がまだほんのおチビだった頃から懐いている
初めて出会った頃と変わらないミケのことを
あの子は不思議ともなんとも思ってないようだが
そんな動じない心持ちというのも
雲予報士には確かに向いているのだろう
ミケは
人の言葉を話さないし
君のように二つ足で生きることを
選んだわけではない
“猫が空を落とす”なんてどこふく風のミケに
すっかりぼくは夢中になった
猫だから旅の一つや二つもするだろう
それでも
空が騒がしい日はぼくか孫か
どちらかと一緒にいるのを好むようだ
そうだな
誰かの生まれ変わり
ぼくのよく知る魂が宿っている
そう思うのは簡単だが
そう信じるのは残酷でもあるからね
妻は妻
ミケはミケ
それでいい
それがいい
さあ
冷たい水をもう少しどうかね