気がつけば
前が見えないほどの荷物を抱えていた
きみの正体が猫でも人でも
空が落ち始めたことさえ
たいしたことではなかったのに
きみの名付けたコーヒーを飲み
猫そっくりの店主に宇宙語の辞書を見せてもらい
かちんかちんの店で時々“おしまいのミルク”を買う
そして
後悔だか悲しいのか
よくわからない手紙をスケッチブックにしたため
きみと同じ模様をした小さな生き物と暮らしている
気がつけば
前が見えないほどの思いを抱えていた
きみの正体が猫でも人でも
空が落ち始めたことさえ
たいしたことではなかったのに
人は夢を見なくなっても
何かを集めずにはいられないらしい