猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

蜜柑とだれかの信じたかみさま-2

滴り続けるものだから

貪り続けることをやめ

だれかの信じたかみさまは

するんと剥いた蜜柑の皮で

指先と口元をやわやわ拭いました


心だけになっても存在しているなんて

面白い蜜柑だ

こうしてやろう


甘く熟れた実を貪ったあと

滴る果汁をやわやわ拭ったその皮も

小さくちぎってのみこみました


だれかの信じたかみさまは

それでようやく満足して

“一緒に来なさい”

蜜柑に優しく言いました