猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

春は

春はやさしくて

制服の襟元のように

ぼくを戸惑わせる


春はやわらかくて

「初めまして」の挨拶のように

軋んだ風が吹く


春は眩しくて

妖艶な花のように

容赦なく手招きする


都会を染めることも忘れることも

たやすくできそうなのに

あたたかな季節はそれを許さず

残酷に手招きする