猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん-14

学校がお休みの間

週に1〜2度毛糸屋さんの店番をしています

ほんの見習いなのですけれど

 

トーザ・カロットの岬はこの季節

あまりにも風が強くて

毛糸を買いにやって来るお客様は

ほとんどいないのです

 

ただ

不思議な言葉を話す猫や

わたしたちと少しだけ違う姿の人が

店主への伝言や小さな包みを携えて

毛糸屋さんに顔を出すので

お店に誰もいないと困るから

なのだそうです

 

包みの中身は

いい香りのコーヒー豆だったり

瓶に入ったキラキラした水だったり

陽気な音楽を詰め込んだUSBだったり

不思議な物語だったり

 

毛糸屋さんなのかカフェなのか

わからないよねぇ

 

そんな気持ちになった頃

猫そっくりの店主がいつもより

耳もしっぽもふくらませ気味に

それでも楽しそうに

雪の中をさくりさくりと帰ってくるのが見えました

 

どんなに風が強い日でも

しっぽをゆらゆらさせて

“いってきます”と出かけていくので

 

店主にも好きな人がいるのかな

 

勝手な物語を自分の中だけで

作っています