猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

欺瞞

コーヒーの香りに押しつぶされながら

今朝も僕は堂々巡りを試みる


悲しみ成分が人より多いから

歌うわけではなく

苦しみ成分が人より濃いから

描くわけではなく


喜び成分が人より豊かだから

見せびらかすのだろうと

陰口の標的になって


なんでもない顔して

歩いているから

強い人だとまた叩かれる


全てを知らない

一部を知らない


そんな“当然”を

心の奥底に追いやって

それがなんだというのだろう


やさしいから泣くんじゃない

絶望と希望の味を知るから泣くのに

それがなんだというのだろう


そう呟いて

自分の鼓動が遅くも速くもないことに

安堵する


コーヒーの香りに押しつぶされながら

今朝も僕は堂々巡りを試みる


いい人だと噂されたくて