コーヒーの香りに押しつぶされながら
今朝も僕は堂々巡りを試みる
悲しみ成分が人より多いから
歌うわけではなく
苦しみ成分が人より濃いから
描くわけではなく
喜び成分が人より豊かだから
見せびらかすのだろうと
陰口の標的になって
なんでもない顔して
歩いているから
強い人だとまた叩かれる
全てを知らない
一部を知らない
そんな“当然”を
心の奥底に追いやって
それがなんだというのだろう
やさしいから泣くんじゃない
絶望と希望の味を知るから泣くのに
それがなんだというのだろう
そう呟いて
自分の鼓動が遅くも速くもないことに
安堵する
コーヒーの香りに押しつぶされながら
今朝も僕は堂々巡りを試みる
いい人だと噂されたくて