猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

あたしはダブルシャープを抱きしめさよならと言った

えぐるような転調と

あふれる音列

あたしはその真ん中で休符にもなれず

うつむいた


誘うような移調と

はみ出る音律たち

あたしは純正律も平均律もほっぽり出して

泣きだした


慰めるように臨時記号があらわれ

すべてが終息に向かうのに

あたしはダブルシャープを抱きしめ

さよならと言った