猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

三つ目とご先祖様

あたしら三つ目には

たいそういたずら好きな

ご先祖様がいたんだよ


ご先祖様は

よく晴れた日でも

平気な顔して都会の街を歩いていたそうだ


じっと見られても

いないことにされるか

変わり者扱いされるか

子どもに泣かれるか


そのぐらいですんでいたらしい


誰かと鉢合わせしても

わかってくれようとしたり

大げさなほど同情されたり

ご先祖様のいないところで

あることないこと囁かれたり


要するに

大したことではなかった


今だったら拡散という

暴力にも気をつけないと

いけなくなっちまった


誰もが正義だと信じているから

やっかいなことさね


あたしら三つ目は

明るくていたずら好きの

ご先祖様が

どんな気持ちで


「雨の日以外は岬や森に行ってはならぬ」


と言い遺したかを思うと

胸がぎゅうっと苦しくなるんだよ


こんなに空が青すぎる日は

特にね