猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

艶やかな皮

びろびろとだらしなく

艶やかな皮が

床中に広がっています

中身を

ガブリとやったあとなのです


あたしはね

器用にくるくる

皮を剥いたんだよ

なのにお前ときたら

びろびろとだらしなく

転がり続けるだけじゃないか


女はわたしを睨みつけ

文句たらたら溢れさす

びろびろだらしないのは

むしろ彼女のほうなのに


びろびろとだらしなく

艶やかな皮が

床中に広がっています


やわらかな光がカーテンに

ゆらゆらまとわりついていた

あたたかい昼下がり


女はブツブツ言いながら

誰かの感情を

びろびろとだらしなく

剥いています


艶やかな皮が

やがて彼女自身を覆い尽くして

しまうまで

女はわたしを睨みつけているのです