猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

秋空

金属音の耳鳴りと

雑踏のやわらかなさざめきに

今日も僕は救われる


あの子の泣き声も

誰かを罵倒したあとのため息も

徐々に体内から消えていく気がして


悲しい瞬間の訪れない日を

欲するより

無理にでも上書きすればいいのだと

気づいたのは何才の時だったろうか


金属音の耳鳴りと

雑踏のやわらかなさざめきに

今日も僕は抱かれてる


秋空が深々と一礼するふりして

それを眺めてた