猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

新学期

新学期の始まるころ

なんとなくもどかしくて

どことなく不安な心を抱きしめる


ぎゅうぎゅうづめの電車に

少しだけうんざり

教室の空気になじむまでは

なんか照れくさいけど

それだって楽しみ


遠い岬の毛糸屋さんで

バイトしてたことは

友達には内緒

つまんない理由なの

自分の居場所が取られる気がして

思い過ごしかも


そういえば時々お店を手伝ってた

おさげ髪のあの子は

みかんの蕾色の毛糸を買ってたな


「バイト代が入ったの」


嬉しそうに大事そうに

毛糸玉をなでてたっけ


闇色の深い色の帽子

すごく似合ってた

冬休みになったら

あの子に教えてもらって

わたしも編んでみようかな