新学期の始まるころ
なんとなくもどかしくて
どことなく不安な心を抱きしめる
ぎゅうぎゅうづめの電車に
少しだけうんざり
教室の空気になじむまでは
なんか照れくさいけど
それだって楽しみ
遠い岬の毛糸屋さんで
バイトしてたことは
友達には内緒
つまんない理由なの
自分の居場所が取られる気がして
思い過ごしかも
そういえば時々お店を手伝ってた
おさげ髪のあの子は
みかんの蕾色の毛糸を買ってたな
「バイト代が入ったの」
嬉しそうに大事そうに
毛糸玉をなでてたっけ
闇色の深い色の帽子
すごく似合ってた
冬休みになったら
あの子に教えてもらって
わたしも編んでみようかな