猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

三つ目と雪だるまの満月

雪だるまの満月が

あたしら三つ目の窪みを

こわごわ照らしてる


あたしらのご先祖さまは

そりゃあいたずら好きで

あるとき月にもうひとつ

月をくっつけたらしい


人は

月が雪だるまの形をしてるなんて

気づきもしないだろうが

あたしらは三つ目でそれをとらえちまう


空気が澄んでくるこの頃は

夜空もやたらと眩しくて

うさぎが風を磨くとこまで

見えちまった


仕方ないから目をひとつ閉じて

忘れたふりをきめこむのさ


ご先祖さまの真似をして

もうひとつ黒い星でもくっつけるか

それとも

闇色をもう少し濃くするか


あたしらは"拡散"されないよう

細心の注意を払って

そんな雑談をするんだよ


三つ目は人をとって喰うなんて

そんなつまらない噂ほど

さも正直めいた顔で広がっちまうからねえ


あんたには

今夜の満月はどんな風に映ってるんだろうね

また

ふかふかな尻尾をふくらませちまうのかい