2017-08-12 空の記憶 散文詩 空はまだ 笑顔と苦悶を同時に吐き出す 口元を見つめているだろうか 空はまだ 安堵と苦痛を同時に訴える 瞳を覚えているだろうか 記録には 何がどこでいつ誰と そんなことが記されて 八月の空にべっとり貼りついた どす黒い血の色など とうに かやのそとだ 空はまだ 命と命の間でざわめく声を 覚えているのだろうか 空はまた 青灰色のだんまりを 決めこむのだろうか