猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

空の記憶

空はまだ

笑顔と苦悶を同時に吐き出す

口元を見つめているだろうか


空はまだ

安堵と苦痛を同時に訴える

瞳を覚えているだろうか


記録には

何がどこでいつ誰と

そんなことが記されて

八月の空にべっとり貼りついた

どす黒い血の色など

とうに

かやのそとだ


空はまだ

命と命の間でざわめく声を

覚えているのだろうか


空はまた

青灰色のだんまりを

決めこむのだろうか