猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん-5

マフラーも手袋も

ちぢこまって歩いた日も

すっかり遠ざかった頃

雨の季節がやってきます


朝が急になくなったみたいで

お昼も灯がほしくなる

なのに夜だけはきちんきちんとやってくるし

どこもかしこも水っぽくて

ため息がふえちゃう

そんな季節です


"遠回りの日没"

トーザ・カロット岬には

そんな言い伝えがあります


猫にそっくりな2本足の生き物が

岬で毛糸屋さんを営んでいた頃

びゅうびゅうと吹いている風が

ぴたり

と静かになる日があって


夜がなくなってしまうとか


猫にそっくりな2本足の生き物は

お店の窓に

"本日休店"のプレートをかけて

いそいそと出かけていくそうです


夜がなくなったものだから

人々もちょっぴり浮かれて


今年も"遠回りの日没"がきたねぇ


子どもらも

大人らも

眠るのをしばしさぼって

そんなふうに笑いあっていたそうな


マフラーも手袋も

ちぢこまって歩いた日も

すっかり遠ざかった頃

雨の季節がやってきます


あじさいの虹糸入荷しました


トーザ・カロット岬の毛糸屋さんから

とびきりのお知らせが

届く季節です