猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

胸元の月

あわせた胸元に月がかかる

なつかしい孤独をたしかめるように

おぼろな果てを追いかけ続けた


ふたりの水がめは空ろなままで

ところどころが欠けていた


しまい忘れたやさしさを

悲しみが貫いていく

ありきたりな甘さを

おぼろに漂わせながら


あわせた胸元に月が灯る

鄙びた孤独をもてあそぶように

うつつな果てをたどり続けた


ふたりの水がめはたよりなくて

ところどころが欠けていた