猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

やりすぎ注意

昔、占いに人生を捧げているような知り合いがいた。

月初め・年初めには著名な星占い師の著書を買い求め、血液型うらないを頑なに信じこみ、新聞の占い欄にくまなく目を通し、手相占いにも足しげく通う。

 

どうせ、悪い運は星のせい。

だって、〇〇座だから。

だって、何型だから何型とは相性合わないんだよね。

 

口癖は今もよく覚えている。

 

占いだけで何かが決まるのか。

血液型や誕生日が同じだったら、似たような性格や人生になるのか。

本当にそれだけで相性は決まるのか。

 

そんなことを、しかし一度もその人には言えなかった。

思いやり深く優しい人ではあったが、思い込んだら誰の言葉も聞こうとはしなかった。

そんな人となりもまた、知っていたからである。

 

やりすぎ注意、と冗談めかしてでも言えてたら。

関係性が変わっていただろうかと、大人になってしまっているのに青く迷う。

それもまた、幸せの一部なのかもしれない。