昔、占いに人生を捧げているような知り合いがいた。
月初め・年初めには著名な星占い師の著書を買い求め、血液型うらないを頑なに信じこみ、新聞の占い欄にくまなく目を通し、手相占いにも足しげく通う。
どうせ、悪い運は星のせい。
だって、〇〇座だから。
だって、何型だから何型とは相性合わないんだよね。
口癖は今もよく覚えている。
占いだけで何かが決まるのか。
血液型や誕生日が同じだったら、似たような性格や人生になるのか。
本当にそれだけで相性は決まるのか。
そんなことを、しかし一度もその人には言えなかった。
思いやり深く優しい人ではあったが、思い込んだら誰の言葉も聞こうとはしなかった。
そんな人となりもまた、知っていたからである。
やりすぎ注意、と冗談めかしてでも言えてたら。
関係性が変わっていただろうかと、大人になってしまっているのに青く迷う。
それもまた、幸せの一部なのかもしれない。