4つの名があり使い分けている
友が胸はりそんなことを言う
3つじゃないのか?ばかだねえ、
みんなとっくに知ってるじゃないか
いやいやこれからつけようではないか、とね
友はタルト生地が柔らかくなりすぎたとぼやきつつ
古風な物言いをする
それは恐れ入ったことだ
クリームも果実もどういったわけか
さらりさらりとしすぎていてね
どろりどろりよりマシではないか、と
友のほどけかけたエプロンを結び直し
ところで4つ目の名とはなんだと尋ねてみた
いっそ君が名付けてくれたまえ
そうして好きに呼ぶがいいさ
タルト生地に敷き詰めるのは
果実にあらず
さらりとこぼれるかにみえて
あふれる悲しい折々の道
どうとでもなんとでも
何度でも呼べばいい