猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

スープ

感情があふれて

足もとがぬかるんだ日は

野菜をみじん切りにする

 

低く流れるラジオが

雪に関する警報を告げて

ふと

小さな発電機を用意したものかと

思案しながらフライパンを温める

 

炒めた野菜に

ほんのり塩胡椒して

ひき肉団子と煮込む頃には

心からあふれた溶岩流から

スッと体を引き抜いて

再び前だけを向いているのだ

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イラスト:伊藤乃吏子さん