猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

それでも黙っていなさいとあの人は言った

次はないかもしれない

それでも黙っていなさいと

あの人は言った

そうして真夜中にいってしまった

 

伝えるべき人の名を

伝えるべき人の居所を遺しもせず

面倒ごとと秘密ごとに程よく時限装着を仕掛けて

そうして夜中にいってしまった

 

家族の定義をわたしは知らない

ひとつではないことは確かであるが

愛はあったのかどうなのか

もう誰も答えてはくれないのである