遠い遠い明日の明日の
そのまた明日のこと
飛ぶものは消え
浮かぶものは去り
どちらでもないものたちのうち
最後に残るのは猫だという説があるのです
ある種の虫でもなく
ナノ世界の住民でもなく
ひとでもなく
すっくと立ちあがることを選んだ猫
ニャァの言語を選んだ猫
彼らが
太古の昔より星を回していたのだと
そんな説があるのです
そもそもの大きさがちょうどよかったのか
ひとたちの憧れゆえに生まれた話なのか
今となっては
当のわたしたちにも分からないのだが
“猫だけになる”
という歌はあなたも知っているはずです
猫そっくりの毛糸屋の店主は
瞳をキラキラさせながら
薄めのマタタビ・カクテルを注いでくれた
そしてイカ耳になると
“狂季”は何も小さな青い星だけのものでは
ないような気もするのですがねえ
などと
さらりと肝が冷えるようなことを呟いた