猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

詩人屋さんのひとりごと-f

コーヒーを淹れる

これはいつものこと

 

あの星でしかとれないとか

あの店のあの豆とか

何時何分になったらとか

拘っていたが

ある時

一切合切手放してみた

 

どこの星の豆ということも

あの店のあの豆ということも

時計にしばられすぎるのも

窮屈すぎやしないかしら

 

毎朝でなくてもいい

ほんとの“好き”を紡ぐ

 

手が空いた時刻に豆からゆっくり

鍵しっぽからも耳からも

しゅわしゅわ湯気が出そうな日は

挽いてあるものを

 

がっちり固めたことを

するりするりほどいたものだから

心も体も軽くなって

自分でも

あれれ、と不思議

 

コーヒーを淹れる

これはいつものこと

さあ

今朝はもっと苦くしてみようか

それともミルクを増やしてみようか

 

幸せは

それはそれはひそやかに

かくれんぼしているのだもの

こちらも

そっと声をかけなくちゃだわ

 

 

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