猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

再会

懐かしいねと笑うあなたは

もう他の誰かを愛してる

 

ふたりで一度だけ買い物した

古びた書店で

人とぶつかりそうになって

ごめんなさい、と顔をあげた

 

車を置いて出かけた朝

控えめな柑橘系の香り

 

懐かしいねと笑うあなたは

想い出の中より髪が短くなってた

 

じゃあまたいつか、の言葉を飲み込み

とぎれとぎれの言葉を必死に舌にのせた

 

変わらないねと笑うあなたは

もう他の誰かを愛してる

 

車を置いて出かけた朝

控えめな柑橘系の香り

あなたはもう

他の誰かを愛してる

 

 

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