これでようやく
これでやっと
おかげさまだねえ
その人は若い時分から“最期”を心待ちにしている
困ったことに、とも
やれやれまたか、とも
どうにも感じなくなるほど疲弊したり、も
あるにはあったが
自分を責めようがその人を責めようが
事態はそんなに変わらない
だから
「はいはい、そのうちね」
「ま、みんないずれは一人残らずだものね」
「こればかりは平等で順番が違うだけだしね」
捨て台詞に聞こえないように
どうにか笑顔で
日常会話に混ぜ込むのである
最後は何度もやってくる
最期は一度きり
だから
なんとか笑顔で
日常会話に混ぜ込むのである