猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

最後

これでようやく

これでやっと

おかげさまだねえ

 

その人は若い時分から“最期”を心待ちにしている

困ったことに、とも

やれやれまたか、とも

どうにも感じなくなるほど疲弊したり、も

あるにはあったが

自分を責めようがその人を責めようが

事態はそんなに変わらない

 

だから

「はいはい、そのうちね」

「ま、みんないずれは一人残らずだものね」

「こればかりは平等で順番が違うだけだしね」

捨て台詞に聞こえないように

どうにか笑顔で

日常会話に混ぜ込むのである

 

最後は何度もやってくる

最期は一度きり

だから

なんとか笑顔で

日常会話に混ぜ込むのである