猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

往復

人の心というものは

よくしたもので

三日ほどまんじりともせずであっても

いつの間にか

涙のときは減り

興奮のような悲しみと

なし崩しの日常と

なんとか行き来ができるようになる

 

二日続きで

よく見知った人が逝ってしまった

 

一人は誰もが知る笑いに生きたひと

一人は丁寧な物づくりでよく知られる映画のひと

 

特に

映画のひとのほうには

数回お目にかかったことがあるものだから

悲しく

信じられず

何をしていても涙が落ちて困った

 

時間は前にしか流れないのに

心の中では逆流するばかりだ

 

それでも

人の心というものは

よくしたもので

三日ほどまんじりともせずであっても

いつの間にか

うつむくときは減り

興奮にも似た喪失感と

なし崩しの日常と

なんとか行き来ができるようになる

 

そんなことを繰り返しながら

明日への道をぼちぼち歩いている

 

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 Kangalさんによる写真ACからの写真