猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん〜店主、旅に出る-7

朝陽が顔を出す頃

猫そっくりの毛糸屋の店主は

宿屋に戻ってきました

 

ぽかぽかぬくぬくの寝床に

本当の猫のようにまあるくなると

あっという間に夢の側へ

誘い込まれていきます

 

先ほどまで見あげていた海に

まあるい何かが

たっぷんとっぷん

いったりきたり

 

夢の中で

猫そっくりの毛糸屋の店主は

小さな青い何かが溺れそうになっているのを

なんとかしようと必死に手を伸ばし

 

そこで目が覚めました

 

いつのまにか雨になったようです

冬のやわらかな雨には

みかんと森の香りが混ざっていて

ほんの少し岬のお店が恋しくなりました

 

店主は

ううううん❣️と伸びをすると

「やることリスト」を確認しました

 

今日の予定は

魔法は使わない

のんびりする

なるほど

旅先でないと実現は難しい

 

明日はフリュで風と花を受け取る日です

予定があるのも

予定がないのも

同じくらい素敵なことだと

毛糸屋の店主は思いました

 

f:id:Sala-Y:20190720120803j:plain