「ハイ、次の方」
ええと
こどもの頃からの悩みなんですが
どんなに逃げても追ってくるんです
夢の中でも夢から覚めても
恋人といてもひとりでいても
さびしさからのがれるすべはありますか
「逃げるから追ってくるのでは」
「そもそもあなたの中にあるのに」
「実は欲しているのでしょう」
「ただの甘えだな!」
「それなに美味しいの」
そうだんいんたちは
有能で優秀だ
かわるがわる
それぞれ大真面目に対応してくれる
わかっている
答えが欲しいわけではないし
受け流してもらっても構わないのだし
何が正しいかは専門家の自分にだって
答えられなかったのだから
一通り
そうだんいんたちが答えたところで
退屈顔の黒猫にも尋ねた
黒猫はしばらく考えていたが
「あたしたちにはさびしいという概念がないの」
と言う
なるほどそれは素晴らしい
大いに僕は満足して
それからずっと
黒猫と一緒に暮らしている