猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

なつやすみおとなそうだんしつ

「ハイ、次の方」

 

ええと

こどもの頃からの悩みなんですが

どんなに逃げても追ってくるんです

夢の中でも夢から覚めても

恋人といてもひとりでいても

さびしさからのがれるすべはありますか

 

「逃げるから追ってくるのでは」

「そもそもあなたの中にあるのに」

「実は欲しているのでしょう」

「ただの甘えだな!」

「それなに美味しいの」

 

そうだんいんたちは

有能で優秀だ

かわるがわる

それぞれ大真面目に対応してくれる

わかっている

答えが欲しいわけではないし

受け流してもらっても構わないのだし

何が正しいかは専門家の自分にだって

答えられなかったのだから

 

一通り

そうだんいんたちが答えたところで

退屈顔の黒猫にも尋ねた

 

黒猫はしばらく考えていたが

「あたしたちにはさびしいという概念がないの」

と言う

 

なるほどそれは素晴らしい

大いに僕は満足して

それからずっと

黒猫と一緒に暮らしている

 

 

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