実家では、それをよしとはしない。もっと言えば決して許さない空気が満ちていた。
が、すでに家を出てからの年数もかなりなもの。育てて(食べさせて)もらっておいてなんなのだが、心と体が合わなかったのだな、と冷静に分析している自分がいる。
親兄弟(姉妹)であっても、仲がよくても、100%の理解はあり得ない。だからこそ聴く耳と心、そして言葉を尽くすことが必要になるのだろうが…それはともかく。
夏の定番と言えば、素麺。
今でこそ具をのせたり、おかずと一緒に食卓に並べることは珍しくないが、父がそれを許さなかった。素麺は素麺だけ、薬味が数種類あればよいという人だったのである。しかも、キンキンに氷水で冷えてないとたちまち不機嫌になる。
母は栄養学を少しかじっていたので、栄養が足りん!とプリプリしながら、こちらも不機嫌に麺を茹でていた。
長年の悩みだった筆者の素麺嫌いは多分、そこからきている。
今、自分でも素麺をサッとゆで、にゅうめんスタイルだったりつけ麺風にして食べている。実家はすでに遠く、筆者への影響はすっかり薄くなった。
素麺嫌い返上の夏を過ごしている。
なんとありがたい。