猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

雲を喰う

この広い広い空ごと

貪ってやりたい

 

ようやっと

そんな季節になり

そうは言っても姿かたちは

人らと変わらずにいるので

 

誰も見ていない時を見計らい

たれこめた雲をちぎってもぐもぐ

なんというか

物足りない可愛いものだ

 

本性をむき出しに生きても

この時代に誤解や炎上を生むだけなら

ちまっと目立たず

自分の内側を燃やしながら

とどまるのも悪くはない

 

秘密だよ

 

その人はウインクして

小さな雲をぎゅっと握ると

ささやかな雨を僕の指先に降らせた

 

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