2019-09-28 雲を喰う 童話詩 この広い広い空ごと 貪ってやりたい ようやっと そんな季節になり そうは言っても姿かたちは 人らと変わらずにいるので 誰も見ていない時を見計らい たれこめた雲をちぎってもぐもぐ なんというか 物足りない可愛いものだ 本性をむき出しに生きても この時代に誤解や炎上を生むだけなら ちまっと目立たず 自分の内側を燃やしながら とどまるのも悪くはない 秘密だよ その人はウインクして 小さな雲をぎゅっと握ると ささやかな雨を僕の指先に降らせた