猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

心を診る猫の医者-20

どこにもないのです

あなたにしか

紡ぐことはできない

 

「なんと感動的で素晴らしい」

「誰もが涙する」

 

そう評される物語よりも

彩り深い

ひとつとして同じお話は

ないのですよ

 

いつか空に帰るまで

飽くことなく物語は

紡がれていくのです

 

もっとも

我らのように

すっくと立つことを選んだ猫らには

なかなか気の遠くなる話ではありますがね

 

心を診る猫の医者は

お茶を飲みにきた友人にウインクすると

にゃああ、と機嫌よく鳴いたのでした

*拙著未収録作品

 

心をみる猫の医者