猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

木立

木立がざわざわふるえて

蝉時雨のこぼれるこの道が

好きでした

 

疲れきった帰り道

わずかな風のたまる道

アパート前に

さわさわと葉擦れが響く

たまに夜更かしな蝉がいて

たまに早起きすぎる鳥もいる

 

みんな生きてるなぁ

ふっと笑えて

ほっとする

小さな習慣になっていたのです

 

あるとき

葉っぱで溝がいっぱいだ

掃除も大変だし

根っこで人がつまづくし

蝉や鳥で朝からうるさいし

洗濯物に虫がつく

 

そんな声が

アパートのあちらこちらからあがり

木立を片づけてしまいましょう

という話になりました

 

木立がざわざわふるえて

蝉時雨のこぼれるこの道が

好きでした

 

疲れきった帰り道

わずかな風の吹く夕べ

アパート前に

さわさわと葉擦れが響く

たまに夜更かしな蝉がいて

たまに早起きすぎる鳥もいる

 

みんな生きてるなぁ

ふっと笑えて

ほっとする

そんな時間が好きでした

 

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日没時の浜名湖/作者撮影