猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

きみの好きなフレーバー

きみがあんなに喜ぶから

意識の隅にでも

刻まれたのだろうか

 

小さなカップアイスを買うのに

躊躇はなかった

かぼちゃの絵柄と

コーヒーの絵柄をひとつずつ

 

手を合わせたあとは

「悪いな、溶けちまうから」

答えはないとわかっているが

そう声をかけて冷凍庫へ

 

きみがあんなに笑っていたから

たいして甘味に執着ないのに

意識の隅にでも

刻まれたのだろうか

 

秋が近づいても

小さなカップアイスを買うのに

躊躇はなかった

 

きみと分け合うことは

もうないのだとわかっていても

 

 

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 しじみさんによるイラストACからのイラスト