猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん〜店主、旅に出る-2

お店をすっかりお留守にすると

さびしくなる人もいるでしょう

それで

猫そっくりの毛糸屋の店主は

考え考えした末に

雲予報の仕事をしているご夫婦と

鍵しっぽの詩人屋さんに

店番をお願いしました

 

森の外れの窪み暮らしの一族にも

お願いしようかと思いましたが

雨の少ない季節に岬に来てもらうことになるので

それは

またいつかのお楽しみ

 

緋色豆のコーヒーをみんなでいただきながら

改めて

レジ周りのことや毛糸玉のこと

お客さまに渡す小さなカードのこと

風が強すぎる日のこと

そんなことを確認して

 

では

よろしくお願いします

 

店主はしっぽをゆらゆらさせて

丁寧に頭を下げました

 

いってらっしゃい

しっぽを大事にね

店番ならまかせてくださいっ

 

あたたかく

頼もしい友人たちに見送られて

猫そっくりの毛糸屋の店主は

お店をあとにしたのでした

 

トーザ・カロットの岬には

今日も素敵な何かを思い出させてくれる風が

びゅうびゅうと吹いているのです