猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

金木犀と唐揚げ

金木犀の香りがくぐもっている

晩夏のひと粒が弾けたような午後

雷雨となり

それでもその人の部屋に満ちた香りは

消えなかった

 

帰りしな

雨宿りを兼ねスーパーに寄る

土曜は揚げ物がお手頃価格で

僕の腹もぐううと鳴った

 

唐揚げのパックをふたつ

ひとつは夕飯に

ひとつは冷凍して来週の楽しみに

 

金木犀の香りがくぐもっている

晩夏のひと粒が弾けたような午後

雨が去り

時も去り

影も去り

あなたが去った