猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

今朝はそんなふうに始まったのだよ

もはや懐かしさすら感じない

わたしにとって

そんな夢の話をしよう

 

遠い街で約束があってね

大勢の人らが待っている

わたしは彼らに話をすることになっているんだよ

それで

バスに乗ったというわけだ

 

それがどうだろう

観光バスのような様子で

皆が目的地があるようで

行き着く先を知っている

わたしだけがそれを知らないときたもんだ

 

スマホはこの世界には存在しない

あるいは時間軸がずれているせいか

言葉も通じないときたもんだ

 

行き先の街の名が

どんどん記憶から抜け落ちて

話そうとした物語もすっかり忘れ

自分が男か女かもわからない

 

雨の中

結局途中でバスを降り

妙にぬかるむ急勾配

これを越えれば街に着く

しかし足が重すぎて少しも少しも進みやしない

 

わたしは約束を守れない

じたらばたら不恰好に汗をかいて

ようやっと夢から押し出されたときたもんだ

 

今朝はそんなふうに

始まったのだよ

 

f:id:Sala-Y:20220203112017j:plain