猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

買わなくなったもの、または買わなかったもの-9

骨折に見舞われたのは、コロナ禍という言葉がささやかれ始めた頃のこと。

未知の病原体に対抗するワクチンや治療法は、確立されていなかった。

街からは人が消え、トイレットペーパーをはじめとした日用品も消え、誰かに会うことも触れることも、著しく制限された。

 

怪我は完治したが、以前のように「スーパーに行ったついでに米袋🍚」「ドラッグストアに寄るからトイレットペーパーも買っとかなくちゃ🧻」という、なんということのない“少し嵩張るものをついで買い”が難しくなった。それで、どちらも通販に頼っているのは以前にも買いた通りである。 車も自転車もないので仕方ない

 

トイレットペーパーは、扉のついた棚に収納している。

適当なロール数をトイレに移動させ、少なくなったら棚から補充する。その繰り返しだ。

 

米は、袋のまま冷蔵庫に入れている。

以前は米櫃とでもいうのか、システムキッチンにくっついていたものを使っていた。

だが、なんとなく衛生面が心配になり、ある時から全く使わなくなってしまった。

 

最近になって、米櫃をどうしようかという話になり、冷蔵庫に収納できるものを探した。今は、米袋をそのまま冷蔵庫に入れている状況なのだ。

縦置き・横置き、扉ポケットに収納できるもの、野菜室に入れられるもの、袋ごと入れておけるもの…

 

だが、我が家の冷蔵庫にはなかなか合うサイズが見つからない。

「あれ、数ミリ足りないね」

「野菜室小さいもんね」

「庫内の高さがあと5センチあればよかったねえ」

 

いずれ米櫃も処分する日がくるのだから、このまま買わないままでいいんじゃない?

 

いつしかそんな流れになった。

米袋をしっかり密封して、こぼれないように安定させて冷蔵庫へ。

米がなくなれば、米袋をその都度処分するだけで済む。単純な話だ。

 

かくして、我が家では米櫃がない生活を選んだのだった。