猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

感情の置き場

「感情排除を」

 

言いかけて

そいつは舌なめずりした

 

「感情排除ってやつをね、覚えたんですよ」

 

より冷静になる方法なのか

あいつに勝つ唯一の術(すべ)だと言いたげに

 

(あいつというのは

嫉妬だの強すぎる正義感だの義務感なんぞを指すのであるが)

 

「まあまあとりあえず

ほれ

ここに入れときな」

 

するすると心の奥底に

ポッカリと穴を作って見せた

 

感情はやがて薄れる

薄れなくとも違う色になる

その時に改めて整理すればよい、と

 

よくわかってるねえ、と

そいつはまた

舌なめずりした

 

あたしの奥底で

 

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