猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

かき消される声だけを

かき消される声だけを

花瓶にいける

剥がれかけた記憶だけを

ジュエリーボックスに片づける

流さなかった涙だけを

心に蓄えて

ほんの少し俯いて笑う

 

空を見上げるのはその後でいい

正直になるのはその時でいい

 

かき消される言葉だけを

鞄に詰める

剥がれかけた歌だけを

舌の上にのせる

叶わなかった夢だけを

心に蓄えて

ほんの少し俯いて笑う

 

空を見上げるのはその後でいい

さびしいと泣くのはその時でいい