泊まりがけの旅を、もう何年もしていない。
あろうことか実家も(連れ合いの、ではなく)泊まることのできない体質。自宅がいい。
初夏の入り口、飛行機を乗り継ぐ旅を久しぶりにした。
福岡へどうにかして日帰りできないかと調べに調べ、チケットが安くなった頃合いを見計らって予約し、「えいやっ」と東北に飛んだのである。
楽しかった。やや珍道中ではあったが(現地の友人のせいでは決して、ない)。
それにしても、「帰りたいひと」なのだとしみわたるように納得する。
だから、遠くへ行くだけでも結構な冒険で、
だから、それだけで結構嬉しくなるのだけど、
だから、じゃあまたね、とあっというまに帰ってきてしまう。
理由はない。
帰りたい。特別居心地がいいとか、そんな話ではないけれど。
帰りたいから、生き急ぐように旅をするんでしょ。
虹色を纏った龍の絵が話しかけてきた。
*筆者撮影